“古くから温泉が湧き出ていた黒川は、江戸時代にはお殿様が温泉に浸かるために立ち寄る地として知られていた。そんな黒川温泉の温泉街、川端通りにある「新明館」は創業120年の老舗宿。田の原川沿いの当館は、ノスタルジックな古き良き日本の宿の趣がそのままに残されている。
館内に5つある温泉はすべて源泉掛け流しで、川のせせらぎを聞きながらゆっくりと温泉が楽しめる。さらに、宿の主人が10年かけて一つ一つ手作りしたこだわりの洞窟風呂は、宿の名物となっている。
客室は、昔から変わらない和室タイプのみ。手入れの行き届いた落ち着いた雰囲気の和室は、旅人の疲れを癒す和みの空間だ。
夕食には、山菜などの山の幸や川魚など、旬の食材が並ぶ。おすすめは伝統的な「囲炉裏」を使った食事。囲炉裏はその昔、日本家屋で調理や暖房具として使われてきたが、現代家屋にはほぼ見られなくなった。その希少な囲炉裏端を使い、串刺しにした魚を炭火で炙ったり、肉や野菜を自分たちで焼いたりするのは、「キャンプに来たようで楽しい」と宿泊客にも人気。おすすめの食材は、厚切りの熊本黒毛和牛で、肉本来の旨みを楽しむなら、囲炉裏でさっと炙るのがおすすめ。川魚は季節によって旬の魚が用意され、夏は鮎(あゆ)、冬は山女(やまめ)が楽しめる。地元の肥後牛、馬刺しといった熊本名物の肉も忘れずに食べておきたい。日本の伝統的な文化を感じる囲炉裏でいただく郷土料理は貴重な食の体験となるだろう。
館内でゆったりと寛いだら、浴衣を着て温泉街を散策。黒川温泉ならではの入湯手形を購入すれば、黒川温泉の湯めぐりもできてたっぷり温泉を楽しめる。日本の田舎街がそのまま残る黒川温泉で心安らぐひとときを過ごそう。”