“由布岳山麓に点在する離れの宿「無量塔(むらた)」。無量塔(むらた)という宿の名は「数字で計ることのできない無限のもの」という意味を持つ仏教の「無量」という言葉から生まれた。日本各地から移築した古民家を中心とした客室、鳥の声や木々の音、山の静謐な空気を肌で感じられるすべての空間が、無限の豊かさを感じさせる。
宿のコンセプトは「古民家の再生」。客室は、古民家を再生した6棟8室と、2004年に新築したモダンなタイプの離れが2棟4室あり、1棟1棟の間取りが全て異なる離れは全室お風呂付き。温泉は各棟に引かれており、内風呂のプライベートな空間でゆっくりとお湯を楽しめる。広々とした造りの浴室は開放感があり、窓から差し込む日差しに露天風呂のような心地よさが味わえる。新旧・和洋の家具や美術品が設えられた客室は、どの部屋も落ち着きがあり贅沢な時間を演出する。
日本各地から移築した古民家はそれぞれに名称があり、部屋ごとに個性が際立つ。日本海側の北部、新潟県から移築した古民家を再生した離れ「明治」は、寒い地方ならではの造りが特徴的だ。お部屋には日本古来の家屋にあった暖炉「囲炉裏」があり、随所にケヤキの柱が重厚な存在感を放ちながらも、木のぬくもりを感じられるお部屋だ。「藤(とう)」は、関西地方の滋賀県から移築した築100年の古民家を再生し、板張りの天井や町屋風の扉が、懐かしくもクラシックな雰囲気を醸し出す。イタリアンタイルを使ったお風呂も風情があり、どこか異国情緒が感じられる。ウォルナットの格子戸が印象的なリビングルームに、北欧のアンティークテーブルを配した客室「汲(きゅう)」は、その奥に琉球畳の小上がりを設える。和と洋のエッセンスが見事に調和した非日常空間の中で、ゆったりと旅時間を満喫しよう。
食事は、湯布院の旬の食材を使った山里料理が堪能できる。人気のメニューは、自家製のスープで煮込んだ地鶏鍋や5種類の香味野菜を練り込んだもろみ味噌と一緒にいただく、豊後牛の五葷(ごくん)もろみ焼き、井戸水を使ってつくる自家製豆腐も評判だ。無限の豊かさを形にする「無量塔」。癒しとともにインスパイアされる旅のひとときを心ゆくまで楽しもう。”